私が初めて息子の指しゃぶりに気づいたのは、生後6ヶ月のことでした。夜中に目を覚ますと、小さな口で一生懸命親指を吸っている姿を見つけたのです。「かわいいな」と思う反面、「いつまで続くのだろう」という不安も感じました。
今回は、多くの親御さんが直面する「指しゃぶり」について、我が家の実体験を元に、その原因と対処法をご紹介したいと思います。
目次
- 指しゃぶりとは何か?
- 指しゃぶりの一般的な原因
- 我が家の場合:息子の指しゃぶり体験談
- 指しゃぶりで起こりうる問題
- 効果的な対処法:我が家の成功体験
- 専門家のアドバイス
- 指しゃぶりと上手に付き合うために
- まとめ
指しゃぶりとは何か?
指しゃぶりは、主に親指や他の指を口に入れて吸う行為で、乳幼児期によく見られる自然な行動です。実は、多くの赤ちゃんは生まれる前の胎内でも指しゃぶりをしています。超音波検査で妊娠5ヶ月頃の胎児が指を吸っている様子が観察されることもあるほどです。
私も息子の妊娠中のエコー検査で「あっ、指を口に入れてますよ」と言われ驚いた記憶があります。生まれる前からすでに指しゃぶりの習慣が始まっていたのですね。
指しゃぶりの一般的な原因
指しゃぶりには様々な原因があります。主なものをいくつか挙げてみましょう:
1. 安心感と満足感を得る行為
赤ちゃんにとって、吸うという行為は本能的な満足感をもたらします。母乳やミルクを飲む時の吸う動作と同様に、指しゃぶりは安心感や満足感を与えてくれるのです。
2. 自己なだめ(セルフスーディング)
子どもは不安や緊張を感じた時、自分を落ち着かせるために指しゃぶりをすることがあります。これは「自己なだめ」と呼ばれる重要な感情調整のスキルの一つです。
3. 退屈や疲れ
単に退屈していたり、疲れている時に無意識に指しゃぶりをすることもあります。特に眠くなった時や、静かに座っている時などに多く見られます。
4. 歯が生える時の不快感
乳歯が生えてくる時期には、歯茎の痛みや不快感を和らげるために指しゃぶりをする子どももいます。
5. 習慣化
最初は上記のような理由で始まった指しゃぶりも、次第に特に理由がなくても行う習慣になることがあります。
我が家の場合:息子の指しゃぶり体験談
先ほども触れたように、私の息子は生後6ヶ月頃から明確に指しゃぶりをするようになりました。私は最初、特に心配していませんでした。「成長と共に自然と止めるだろう」と楽観的に考えていたのです。
しかし、1歳を過ぎ、2歳になっても指しゃぶりは続きました。特に寝る前や疲れている時、何かに集中している時に親指を口に入れる姿が見られました。保育園の先生からも「お昼寝の時は必ず指を吸っていますよ」と報告を受けるようになりました。
息子の場合、指しゃぶりは明らかに安心感を得るための行為でした。新しい環境や初めての状況に直面した時、不安を感じると必ず親指を口に入れていました。例えば、初めて行く場所や初めて会う人の前では、必ずと言っていいほど指しゃぶりが見られました。
特に印象に残っているのは、3歳の誕生日パーティーの時のことです。親戚や友人がたくさん集まり、息子は注目の中心でした。最初は嬉しそうにしていましたが、次第に周囲の大人たちからの注目に圧倒されたようで、静かに隅に座り込み、親指を吸いながら状況を見つめていました。その姿を見て、指しゃぶりが彼にとって大切な「安全基地」になっていることを実感しました。
指しゃぶりで起こりうる問題
子どもの指しゃぶりはある程度の年齢までは自然な行為ですが、長く続くと以下のような問題が生じることがあります。
1. 歯並びへの影響
長期間の指しゃぶりは、前歯が前に出る「出っ歯」や、上下の歯がかみ合わない「開咬」などの歯列問題を引き起こす可能性があります。
実際、息子が4歳になった頃、定期健診で歯科医から「前歯が少し前に出てきていますね。指しゃぶりの影響かもしれません」と言われたことがありました。その時初めて、指しゃぶりの影響の現実味を感じ、本格的に対策を考え始めました。
2. 指の皮膚への影響
常に指を吸うことで、指の皮膚がふやけたり、荒れたりすることがあります。息子の右手の親指も、他の指と比べて皮がむけやすくなっていました。
3. 感染症のリスク
外で遊んだ後などに手を洗わずに指を口に入れることで、様々な細菌やウイルスが口に入るリスクがあります。
4. 社会的な問題
年齢が上がるにつれて、友達から指摘されたりからかわれたりする可能性があります。息子も保育園で年長さんから「赤ちゃんみたい」と言われて悲しんだことがありました。
効果的な対処法:我が家の成功体験
息子の指しゃぶりを止めさせるために、私たちが試みたさまざまな方法と、実際に効果があったものをご紹介します。
試してみたけど効果がなかった方法
- 厳しく叱る:最初は「指を口から出しなさい!」と厳しく注意していましたが、かえって息子のストレスとなり、隠れて指しゃぶりをするようになっただけでした。
- 苦い液体を塗る:指しゃぶり防止用の苦い液体を塗りましたが、息子はすぐに慣れてしまい、効果は一時的でした。
- 軍手をはめる:寝る時に軍手をはめてみましたが、途中で取ってしまい効果がありませんでした。
効果があった方法
- ポジティブな強化:指しゃぶりをしなかった時に褒めることを徹底しました。「今日は指を吸わないで頑張ったね!」と具体的に褒めることで自信につながりました。
- 代替行動の提案:不安を感じた時には、指の代わりに抱きぐるみを抱きしめたり、私の手を握ったりする行動を提案しました。特にお気に入りのぬいぐるみを「不安の時の友達」として与えたところ、少しずつ指しゃぶりの頻度が減りました。
- 気づかせる工夫:自分が指しゃぶりをしていることに気づかない場合が多かったので、秘密の合図を決めました。私が耳たぶを触ると「あっ、指を吸っているんだ」と気づくようになりました。叱るのではなく、気づきを促すだけなので、息子も反発せずに受け入れられました。
- 根本的な不安の解消:指しゃぶりの根本原因が不安にあると考え、新しい環境に行く前には事前に説明し、安心感を与えるようにしました。例えば、初めて行く場所の写真を見せたり、どんなことが起こるか前もって話したりすることで、不安が減り、指しゃぶりも減りました。
- 自分で目標を立てる:5歳になった頃、息子自身に「指しゃぶりをやめたい」という気持ちが芽生えてきました。そこで、カレンダーを用意し、指しゃぶりをしなかった日にはシールを貼るようにしました。10個シールがたまると小さなごほうびを用意することで、自分で頑張る意欲を高めることができました。
最も効果があったのは、この最後の「自分で目標を立てる」方法でした。外部から強制されるのではなく、自分自身の目標として取り組むことで、徐々に指しゃぶりの習慣を克服していきました。
専門家のアドバイス
指しゃぶりについて小児歯科医と相談した際に得たアドバイスもいくつか共有したいと思います。
- 無理に止めさせない:多くの子どもは4-5歳頃までに自然と指しゃぶりをやめるため、それまではあまり神経質になる必要はないとのことでした。
- 永久歯が生える前が重要:永久歯が生え始める6歳頃までに指しゃぶりを止めることができれば、歯並びへの影響は最小限に抑えられるそうです。
- ストレスへの対処法を教える:指しゃぶりの代わりとなる、健全なストレス対処法を教えることが大切だと助言されました。深呼吸や、好きな活動に取り組むなどの方法です。
- 就寝前のルーティンを確立する:特に寝る前の指しゃぶりが多い場合は、就寝前の安心感を与えるルーティンを作ることが効果的だそうです。私たちも絵本の読み聞かせとマッサージを取り入れたところ、寝る前の指しゃぶりが減りました。
指しゃぶりと上手に付き合うために
指しゃぶりを完全になくすことにこだわりすぎず、子どもの成長過程の一部として受け入れつつ、少しずつ減らしていく姿勢が大切だと感じています。
1. 子どもの気持ちを尊重する
指しゃぶりを「悪い習慣」と決めつけず、子どもが何かを求めているサインとして捉えることが大切です。息子の場合も、厳しく叱るよりも「どうして指を吸いたくなるの?」と優しく問いかけることで、「怖かったから」「疲れたから」など理由を話してくれるようになりました。
2. タイミングを見計らう
特に疲れている時や体調が悪い時など、子どもが不安定な時期に急に指しゃぶりをやめさせようとするのは逆効果です。体調が良く、精神的に安定している時に少しずつ働きかけるようにしましょう。
3. 成長を信じる
多くの子どもは成長と共に自然と指しゃぶりをやめていきます。特に社会性が発達し、周囲の目を気にするようになる小学校入学前後には、自分から指しゃぶりをやめる子どもも多いです。
息子も、小学校入学を控えた6歳の春頃には、ほとんど指しゃぶりをしなくなりました。今でも非常に疲れている時や、深く眠っている時には稀に指を口に入れていることがありますが、日中に意識的に指しゃぶりをすることはなくなりました。
まとめ
指しゃぶりは多くの子どもに見られる自然な行為であり、安心感を得るための大切な手段です。過度に心配したり、厳しく禁止したりするのではなく、子どもの成長に合わせて徐々に減らしていくアプローチが有効です。
私たち親にとっては「いつまで続くのか」という不安がありますが、多くの場合、子ども自身が成長と共に指しゃぶりの必要性を感じなくなっていきます。
大切なのは、指しゃぶりそのものを問題視するのではなく、子どもが何を求めているのかを理解し、安心感や自信を育むサポートをすることではないでしょうか。我が家の場合も、叱るよりも励まし、禁止するよりも代替手段を提供することで、無理なく指しゃぶりを卒業することができました。
子育ては長い道のりです。指しゃぶりに限らず、様々な成長の過程で悩むことがあると思いますが、子どもを信じ、焦らず見守る姿勢が何よりも大切だと実感しています。皆さんの子育ても、そんな温かい目線で進んでいくことを願っています。
(終わり)

コメント